批判的校訂によるアカデミー版の成果を踏まえ,日本語版独自の編集により訳出,解説と詳細な注は新たなヘーゲル研究の基盤と最新のヘーゲル像を提供し,従来の関連作品を一新する待望の本格的全集である。
1801年1月,フランクフルトからイェーナに移ってきたヘーゲルは,哲学の教師としてのキャリアを開始する。「差異論文」(1801)の公刊により,はじめて哲学の課題を自らのものとして語り始めた。「自らの哲学」への途上にあったイェーナ期,ヘーゲルは「一つの真実の哲学」を求めて,「哲学体系」の構想を彫琢する。
本全集第5・6・7巻には1803–06年の「イェーナ期体系構想」と呼ばれる手稿類を収める。これらのテクストは,イェーナ期の集大成である「学の体系第一部」と冠せられる『精神現象学』(1807),さらに『論理学』(1812–16)や『エンツュクロぺディー』(1817・27・30)で展開する学の体系化へと繋がっていく,独創的で豊かな思索の発展の原点を示す記録。
本巻には,「体系構想Ⅰ」から引き続く「無限性」,「否定性」,「絶対的な精神」といったヘーゲル哲学の重要概念を発展的に展開した「イェーナ期体系構想Ⅱ 論理学・形而上学・自然学(1804/05)」を収める。また付録として同時期に執筆された断片と,さらに詳細な解説,充実した索引も収録する。
【主要目次】
[論理学]
[Ⅰ 単一な関係]
Ⅱ 相関関係
Ⅲ 比的関係
形而上学
Ⅰ 諸原則の体系としての《認識》
B 客観性の形而上学
C 主体性の形而上学
自然哲学
[Ⅰ] 太陽系
Ⅱ 地球系
補注
付録
解説