昔あるところに、コルヌコピアという小さくて豊かな王国がありました。そこは黄金だけでなく、幸せも満ちあふれ、おいしい食べ物があることでも有名です。首都シューヴィルの「天国の望み」と呼ばれるおいしい菓子パンや、そこから少し北へいったクルズブルグの繊細な味わいのクリームチーズなど、どれもがあまりにおいしくて、食べたひとは涙ぐまずにはいられないほどです。ところが、そんな幸せな王国にも、恐ろしい怪物が潜んでいたのです。伝説によると、はるか北の霧深い沼地、マーシランドに棲む”イッカボッグ”は、火を吐いたり、毒をまき散らしたり、迷子の羊や子どもをさらっていくとも言われていました。そんなのはただの作り話だというひともいましたが……その伝説がひとり歩きし、王国に暗い影を落としはじめたとき、ふたりの子どもたちーー親友のバートとデイジィーーの大冒険の旅がはじまります。ふたりは真実を解き明かし、本物の怪物がどこにいるのかをつきとめることができるのでしょうか。