方言の特色ある語彙と基礎的な語彙の多くを取り上げた。消滅目前のかつて使われていた方言の語彙と語法を少しでも正確に記述し、記録として残す。埼玉県東南部方言は、戦前世代、高度成長期以前、高度成長期以降で、言語の体系が大きく変容した。戦前世代、高度成長期以前の言語を対象に、激しい共通語化にさらされる以前の、比較的自律的だった体系を明らかにすることに関心をもち、継続的に取り組んできた調査のうち、語彙についてまとめ、辞典として発行する。
・対象とした地区
埼玉県東南部の大宮台地と、東側の中川低地地域(川口市東部、草加市、八潮市周辺)。とりわけ、北足立郡旧安行村とその周辺
・取り上げた語彙
1 滅び去ろうとしている俚言といわれる地域特有な単語、民俗語彙といわれる風習に関わる語彙
2 今の使われている、生活語として根強く生き延びている語彙、機能語である助詞・助動詞・接尾辞
・辞典の特長
1 見出し語を音韻表記している。さらに、埼玉特殊アクセントを示すために、アクセント核を表示。
2 見出し語の単語の品詞、活用の種類など、文法事項を明示
3 言語学的に、断片的でなく体系的に、ことばの意味・用法や語誌・語源に配慮した説明。