「ブドウはワインの生みの親」「ワイン造りはブドウづくり」「良いワインは良いブドウから」など、ワインにとってブドウがいかに重要かを示す格言が数多くあります。しかし、地球温暖化が進むなかで、肝心のブドウ栽培が転換点にさしかかっています。
著者は『ワインの科学』などを著して知られる英国のワインジャーナリスト。本書では世界中のワイン産地に足を運んで得た知見をもとに、根圏を含む生態系の重要性、仕立て方と剪定、テロワールの概念、ブドウ樹の免疫力と耐病の仕組み、新旧の有名な交配品種などを興味深く検証します。また、世界各地のブドウ栽培地の生産者の取り組みについてもケース・スタディとして具体的に取り上げています。
環境に負荷をかけず、持続可能なブドウ栽培のあるべき姿を、科学的な側面から多角的に考察。今後のブドウ栽培、ワイン造りの道筋を探るうえで示唆に富む一書となっています。