江戸時代の物価の変遷を丹念に追った幻の「事典」が、新装版で復活。
本書は江戸期の物価に関する事典である。単なる事典ではなく、物価を通して人々の生活の一端をも解説する読物でもある。
≪著者の巻頭言より≫
江戸の風俗を調べて数十年、その間、編者は、いろいろな質問を受けてきた。例えば 江戸の人々は、上層中層下層それぞれ、どれくらいの収入支出で、どんな暮しをしていたのか。物の値段はどうであったか、それを人々 はどう受け止めていたか。武士は食ねど高楊子などといわれているが、下級の武士たちは日々の物価の変動にどれほど心を悩ましたか。町人はどう節約し、どう儲け、どう賛沢したか。国学者本居宣長の生活日誌や幕末の名士小栗上野介忠順の家計簿などを見て、彼らの生活を生き生きと判るようにするには、どうしたらよいか。これらは編者自身が、かつて思い悩んだ質問の一つでもあった。それに答えるには、編者自身がまず物の値段をーつーつ具体的に調べ、当時の人々の反応を覗い知らねばならない。
そんなことを深く思いながら、諸々の品物の値段を調べ、覚え書きを作ってゆくうちに、いつの間にか、往時の人々の生活の臭いが感じられてきて、江戸の体臭をさえ感知できそうになった。