戦後、雑誌『平凡』を立ち上げ100万部にまで育てた父―そして母や友や出来事など、老境を迎えた著者が綴る海辺の小さな村の物語!!
小さな村の物語 -あとがきにかえて- より
海と山にはさまれた小さな村であった。その上、細長い村のまん中を鉄道と国道が串ざしになっている。
五歳の時、私はこの村に来た。そして色々なものと色々な人を見た。
戦争が終って小さな村にも、悲喜こもごもの物語が生れた。ここで生きて行くと決めた時、私と小さな村とのつきあいが始まった。
「人生の通信簿」 ふり返って見れば一生の果てにそれぞれの通信簿が残されている。
愛してやまないふるさとはたくさんの物語を私にくれた。それは放っておけば指の間から、落ちて消えて行くものだろう。
その一つひとつを拾い上げて見た。
そして思う。人間てステキだなと。
生きているのってステキだなと。
新井恵美子