• 発売日:2022/05/24
  • 出版社:萌文書林
  • ISBN:9784893472700
通常価格 1,980 円(税込)
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商品説明

本誌「子ども学」第10号発刊の2022(令和4)年もコロナ禍で幕を開けました。私たち大人はコロナ禍以前を知っています。以前と比べるからこそ感じてしまう不自由さのなかで,それでも何とかこの状況とつき合っています。では,コロナ禍で産まれ,この状況しか知らない子どもたちはどうでしょうか。昨年8月にある調査結果が報告されました。ブラウン大学の研究チームが米国で行った調査によると,コロナ禍以前に生まれた3か月3歳の子どもたちの認知機能を100とした場合,コロナ禍で生まれた子どもたちでは78程度に低下しているそうです。この報告はpreprint(査読を受ける前の論文)ですので,正しいかどうかは検証を重ねていく必要があります。しかし,人との「密」や「接触」を基本として発達していく子どもたちの学びの機会が急激に低下してきたのは確かです。

私も研究者の端くれとして,子どもたちの実態調査をしています。子どもたちの視線の先を自動で測れる「自動視線計測装置」をもって保育所に行き,実際に計測してみました。言語発達の途上である12か月齢前後の子どもたちを対象に,絵本読み聞かせの場面と,食事の介助場面での調査です。コロナ禍前であれば,どちらの場面も,対象(絵本/スプーンの上の食材)と保育者の口元を見比べるはずの場面です。ところが保育者の口元がマスクで覆われている場合,相手の口元を見ることはほとんどありませんでした。このように,質的にも量的にも学びの環境が変化してしまっているコロナ禍で,本誌が担える役割は何でしょうか。

今回は発行第10号を記念した座談会が開かれ,この先の子ども学の展開が語られています。とくに,子どもたちの視点や感覚を中心にとらえて,そこから保育や教育を位置づけ直す必要性を論じています。それは,特集「子どもの家庭と貧困」「子どもと時間」でも通底しています。

多分野が連携する「子ども学」。連携する際は,お互いがやりたいテーマをもち寄ると空中分解しがちです。そうではなく,共通した「困りごと」を見つけ出し,各専門家が自分のフィールドならでは解決の方法を提案,そして皆ですり合わせて実行していくことが一つのポイントとなるでしょう。コロナ禍が子どもたちにおよぼす爪痕はいまだ全容が見えません。コロナ禍で困っている子どもたちを中心に据え,複数の専門家が協働する時なのだといえるのではないでしょうか。
(子ども学研究所長 白梅学園大学子ども学部教授 松田 佳尚「まえがき」より)

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