愛し方も
死に方も、
私のもの。
美しく残酷な運命の恋物語が、
時代を超えて、
私たちの心を強く揺さぶる。
江戸時代、元禄期の大坂で実際に起きた心中事件をもとに近松門左衛門が書いた“心中もの”の傑作を、直木賞作家・角田光代が遊女「初」の視点で現代に蘇らせた!
あらがい難き究極の恋の、
高揚、悦び、懊悩、切迫……
近松門左衛門の原作の世界を踏襲しながら、
あらゆる感情を細やかな心理描写で描き切り、
新たな物語として昇華させた、小説『曾根崎心中』。
--
これが恋か。初は思った。これが、恋か。
ほほえみながら、泣きながら、高笑いしながら、物思いにふけりながら、不安に顔をゆがめながら、嫉妬に胸を焦がしながら、記憶に指先まで浸りながら、幾度も幾度も、思った。
これが、これが、これが、恋。
(本文より)
--
出会ってしまった心を、止めることはできない。
小説として生まれ変わり
新たに読み継がれる名作・新装版。
●本書は、2011年にリトルモアより刊行された『曾根崎心中』の新装版です。内容上の変更はございません。