昔、元日本赤軍最高幹部としてパレスチナに渡り、その後の投獄を含めて50年ぶりに市民社会に復帰。見るもの聞くもの初めてで、パッケージの開け方から初体験という著者がこの2年間、どんな生活を送って何を感じたか。50年ぶりに盆踊りに参加したといった話でつづられる読み物として楽しめる本です。しかもこの1年間のガザ虐殺については、新宿などでの抗議集会に参加するなど著者ならではの記述になっています。元革命家の「今浦島」生活という独特の内容でありながら、今話題になっているガザの問題については著者ならではの記述という、2つのテーマをもったユニークな本です。著者がこの前に上梓した『パレスチナ解放闘争史』は極めて専門的な本ですが、今回のはそれと全く異なり、一般向けです。1970年代の日本赤軍という存在自体、若い読者にとって今や遠い歴史の話ですが、その当事者が現代社会にタイムスリップしたように50年ぶりに復帰したらどうなったかという読み物です。