ガイシャが夢だった時代、ガイシャが輝いていた時代。1985年、1986年のあの頃。ドライブの楽しみはFMラジオとカセットテープのカーオーディオだった。そして、バブルを経験したニッポンのガイシャたち。あの頃、世間のごく一部では、外車がある、外車に乗ること、それだけで目くるめくようなドラマに満ち溢れていました。新ストーリーを加えて外車生活奇譚、始まり始まり!あの時代の空気を感じていただければ幸いです。
昭和60年ころ…そ、あのころ。1985年、1986年…。アイフォンもグーグルもなんもないころ。ドライブの楽しみはFMラジオとカセットテープのカーオーディオだった。世間はパリのシャンゼリゼがそこに、のカフェにウオーターフロントブーム。で、ハイソカー、デートマニュアル、(金)(ビ)金魂巻、ホイチョイ、ファジー、ラジカセ、アナログ、使い捨てカメラ。缶コーヒー、11PM。賑わいトレンドブームの真っただ中。そんなことにはひかれることなくクルマ好きの心理はずきずきわくわくです。ステアリング、ABCペダル、4速、5速のシフトレバー、薄いドライビングシート、体感、五感、直観時代。エンス―万歳!クルマ側からの制御なんてなかった、クルマが肌感を持って身内だったころ。そうクルマは身内の感覚。で、しれっとガイシャに向かう人たちがいる。外車…。英国車、フランス車、イタリア車、ドイツ車、アメ車。ガイシャ、わくわくする言葉。憧れのクルマがそこにある。そのクルマに乗れば、いきなりその国の人になった気になり、見知らぬ世界がやってくる。なりきりエンス―万歳!
触れる触る、香りを嗅ぐ、かすかな音を聞く、見て見てあそこもそこも見る…。スペックの数値と五感のせめぎあい。コクピットドリルだけでもう興奮絶頂。インジェクションなぞくそくらえ、ソレックス、ウェーバー!キャブレター至上主義。もちろんシフトはマニュアル。車内密室、レフトハンダ―、なぜかむずむず…助手席の美形のくるんとした膝小僧…シフトレバーの右脇数センチの誘惑…。
あの頃、世間のごく一部では、外車がある、外車に乗ること、それだけで目くるめくようなドラマに満ち溢れていました。まだまだ昭和の外車生活奇譚、始まり始まり!
現在では不適切と思われる表現が多々使われています。あの時代の空気として、ご了承いただけると幸いです。