本書は、FRBや日本銀行の顧問を務めた経験のあるアラン・メルツァーが、FRBの保存資料や議事録を基にして、1913年のFRBの設立から1951年の独立性を獲得するまでの時代を書き下ろした、まさしくFRBを知り尽くした人物による歴史書です。 メルツァーは、アメリカの金融経済学者・金融史家としても名高く、本書では、FRB・連邦準備制度による金融政策がどのような変遷を辿ったのかを分析しています。それは、どのような経済・金融学説や思想に基づいて制度が構築されたのか、誰によって政策が策定されて運営されてきたのか、これらの疑問に対対して、FRBが保管してきた膨大な文献や議事録、議会証言、メモなどに基づいて答えています。当時のFRBと財務省は対立と協調の連続であり、連邦準備制度内においても準備局(後に連邦準備制度理事会)と地区連邦準備銀行(中でもニューヨーク連銀)との主導権争いが激しかった時代です。では、これらの対立や争いは、当時の経済・金融情勢やそれに関する政策思想とどのように関連していたのでしょうか。先に、アメリカ・トランプ大統領が、FRB・連邦準備制度に対して「利下げ」を要求し、パウエル議長の解任をも示唆しました。これは、中央銀行の独立性に対する実質的な介入行為に当たります。こうした今日の問題と関連しても、本書を通じて、現在と過去の対話を通じて現状を分析することによって、FRBの在り方と本質を見極めることができるもと思われます。