自然に対する人間の観念(自然観)の本質はどのようなものであり、それはどのような原理で転換しているのだろうか。
文理の枠を超えた多分野の研究者が、「生業」と「自然観」を軸に、1万1700年前の完新世以降、現代までの琵琶湖地域を対象に、自然と人間の関係を描き出す総合研究。
巨大地震、気候変動、資源の枯渇、そして地域の急激な人口減少に見舞われる現代日本に、新しい自然観の創造のための「地域環境史」を提起する。
■目次■
はじめに(橋本道範)
第1部 自然と自然観
第1章 繰り返された平安時代の近江地震 地震の神・南海トラフ大地震・近畿東北部大地震(保立道久)
第2章 幕末期における琵琶湖周辺の植生景観 「琵琶湖真景図」と「琵琶湖眺望真景図」を主な資料として(小椋純一)
第3章 近代琵琶湖漁業の漁獲量の長期的な変遷 人々は琵琶湖で何を採ってきたか(藤岡康弘)
第4章 琵琶湖のヨシ(葭)地をめぐる近世人の自然観(東幸代)
第5章 森林を介した地域住民とカワウとの歴史的関係の地域差(亀田佳代子・藤井弘章・牧野厚史・前迫ゆり)
第2部 「ムラ」と自然観
第6章 先史社会における環境利用の稠密化 社会規模からの推定(瀬口眞司)
第7章 琵琶湖・淀川水系における中世漁撈について 御厨を中心に(苅米一志)
第8章 近世人の水と土へのまなざし 湖岸村落を事例に(鎌谷かおる)
第9章 中世惣村今堀郷の資源利用と自然観 集落のなかの森づくり(春田直紀)
第10章 日吉系祭礼にみられる自然観(市川秀之)
第11章 カヤネズミの生息環境と半自然草地に対する意識と管理(中村(澤邊)久美子)
終 章 自然・生業・自然観 琵琶湖の地域環境史(橋本道範)