複雑で重層的な地震被害の諸要因を、地震断層や震央との位置関係といったマクロレベルから、集落ごとの諸条件の違い、個別の建物や住民の性質の差といったメソあるいはミクロスケールの幅広いスケールにわたって分析し、地理学の視点から俯瞰的に捉えることで、被害の拡大要因や縮小要因の構造をモデル化する。
1927年北丹後地震、1925年北但馬地震、1830年文政京都地震の3つの地震を対象とし、被害統計や文献史料をもとに当時の被害の実態を復原。
幅広いスケールの分析を整理してモデル化を行うことで、事例や地域を跨いだ比較を可能にし、複雑化した現代社会における地震防災にもつながる研究。
第I部 序論
第1章 地震被害の要因分析に関する研究史の概要と課題
第2章 研究の視点と方法・構成
第Ⅱ部 1927年 北丹後地震
第3章 北丹後地震における建物倒壊被害と地形の関係
第4章 北丹後地震における人的被害の分析
第Ⅲ部 1925年 北但馬地震
第5章 北但馬地震の建物倒壊被害と各地域の地震被害の特徴
第6章 北但馬地震における人的被害の傾向と地域的特徴
第Ⅳ部 1830年 文政京都地震
第7章 文政京都地震における亀岡盆地の建物倒壊被害と震央位置の再検討
第8章 文政京都地震の史料吟味と京都盆地の建物倒壊被害
第9章 文政京都地震における人的被害の分析
終章