科学・技術の変貌はすさまじい。創造性をはぐくむ教育や学生の「主体的に学ぶ姿勢」を重視する教育システムへの革新が求められ、世界的競争に打ち勝つために、一律的な研究支援策ではなく、競争的な環境が効果を生むという考え方も強くなった。競争環境の過度な強化や、大学に対する運営費交付金の大幅な漸減が、地味な基礎研究を駆逐する。創造的研究は、既成の枠組みや秩序とは異なる考え方をするため、このような形での支援を受けることがむずかしい。このようなシステムでは1から100を作ることはできるが、0から1を作ることはできない。予想できない成果を上げるからブレークスルー研究なのである。2025年版では大脳一次視覚領細胞の方位選択性の機能構築を細胞単位で解明した大木研一博士のレビューが冒頭を飾り、視覚野の研究と人工知能研究の融合にも取り組んでいる。