魯迅に「中国の童話に独自の創作の道を切り開いた」と言われる葉聖陶(ようせいとう)の珠玉の作品集。表題作「稲草人(かかし)」(1922年発表)をはじめ、およそ100年を超えて読み継がれる珠玉の作品32篇を収録。真夜中の田園に立つかかしの目から、世の中に起きている悲劇を描く「かかし」。お金や財産に執着する人間を厳しく見つめる「旅行家」「大金持ち」。貧富の差、社会の不平等を描き出す「フラワーカーテンの外て」。人の心に根差す傲慢さを追及する「古代の英雄の石像」。アンテルセンの「裸の王様」のその後を皮肉をこめて語る「皇帝の新衣装」。中国の伝統的な教育の欠点への批判をさりけなく込めた「本たちの夜話」。仕事をするとはとんなことかを考えさせられる「カイコとアリ」「将来何をするか」なと。童話というシャンルを超え、現代の大人か読んてもしっくり味わうに値する。