特集 2025年人事院勧告
●1991年以来のベースアップ3%超、一方で本府省と地方機関の格差開く
物価高と人手不足などに押される形で、昨年から日本経済は本格的な賃上げ局面に入りました。この流れが継続・定着するかが焦点だった2025年の春闘も概ね好調で、春闘結果を受けた人事院勧告は、昨年の2.76%を上回る3.62%の賃上げ勧告となりました。人事院勧告のベースアップが3%を超えるのは1991年以来で、これは「公務員離れ」に危機意識をもった人事院が比較企業規模を50人以上から100人以上に引き上げたことも影響しました。
賃金が上がっているときは、さまざまな属性の労働者の間で格差が広がりやすいタイミングです。労働組合としては、昨年若年層と中高年層との間で賃上げの格差が大きかったことから、今年の交渉では中高年層の賃上げを強く求めた結果、全世代に一定の賃上げが行われました。
しかし今年は、霞が関の本府省で働く職員に大きく賃上げをする一方で地方勤務職員はほどほどという、地域間・機関間の格差を広げる内容となりました。
人事院勧告は、地方公務員や医療・福祉・教育職場など様々な公共セクターで働く900万人以上の労働条件に波及します。いま重視すべきなのは、分厚い中間層を再生させるためのボトムアップ型の労働条件改善であり、あらゆる格差の是正はその中心的な課題です。