日本では“暑く乾燥した国”というイメージも強い中東のイランですが、広い国土には4,000m級の山々が連なる山脈がいくつもあり、山岳地域には寒冷地も多く存在します。加えて、中東は羊の牧畜のはじまりの地とされる地域で、羊毛文化の長い伝統をもちます。その最たる例が、現在もイランの主要な手工芸品となっているカーペットやラグです。
そんな土地で、実用的かつ美しい日用品として編まれてきたのが、多色づかいで独特な伝統模様が編み込まれた靴下です。かつては花嫁の技量の高さを嫁ぎ先に証明する結納品でもあったという靴下は、どんなふうに編まれていて、編み込まれる模様にはどんなものがあり、そこにはどんな意味が込められているのか……。
本書では、日本におけるイランの手編み靴下の伝道師、OKKO YOKKOさんがこれまでの買い付け旅で出会い、少しずつ蒐めてきた「お宝靴下」とともに、イランの手編み靴下の謎をひもといてゆきます。
著者は、OKKO YOKKOさん、そしてOKKO YOKKOさんが現地で奇跡的な出会いを果たした手編み靴下研究者、Sakeineh Shabani(サキネ・シャバニ)さん。おふたりの経験と知見を全力で注入していただき、知られざるイランの手編み文化をたっぷりご紹介します。
中心となるのは、70点以上の「お宝靴下」をじっくり鑑賞できる靴下図鑑。加えてOKKO YOKKOさんによるイランの暮らしや文化の紹介、サキネさんによる模様解説、さらには陽子さんが50名以上のクリエイターとともに続けてきた靴下アレンジ企画「白い靴下プロジェクト」のアーカイブや、タイプの異なる3種の靴下の編み方ハウツーまで、イランと靴下の魅力をとことん堪能できる、もりだくさんな一冊です!