ウクライナ戦争の教訓は、インド太平洋地域における最大の懸案である台湾有事に何をもたらすのか?台湾有事をめぐる米中対峙はどこに向かっているのか?
本書はウクライナ戦争を、AI・無人機の本格的な投入、軍民の衛星を動員した宇宙空間の軍事利用の拡大、サイバー空間や認知領域での闘争の本格化という21世紀の「新しい戦争」と、市民を巻き込む激しい市街地戦、塹壕戦における膠着状況、継戦能力を確保するために実施される大規模な国防動員という第二次世界大戦以来の「古典的な戦争」の双方の特徴をもった「新たなる戦争」と位置づけ、そこから米国・中国・台湾の軍事戦略・ドクトリン、作戦構想、軍事力整備方針を解明することで、上記の問いに答えることを目指す。国内唯一の安全保障を専門にした国立シンクタンクである防衛研究所の研究者が、日本の安全保障政策を考えるうえで不可欠なテーマに切り込んだ意欲作。