プロフェッショナルとしての鍼灸師であるための書『職業としての鍼灸』の続刊。鍼灸は古色蒼然とした過去の医療ではない。近代科学の限界が見える中、複雑で流動的な諸現象を要素に分解せず、そのまま把握対応しようとする全体論的、包括的な思考による医学・医療である。その世界観・生命観・科学的思考を示すとともに、21世紀の医療のかたちと鍼灸師のこれから目指す方向を示す。「現代科学という広大な領域を天空に見立てて脳裏に描くと、鍼灸医学は他の諸科学と同等に光る存在と認知でき、読み終わるとその光はひときわ際立ち、一等星に優る輝きを放つ存在に見えてきた。(丹澤章八、推薦の辞から)」という。エントロピー、動的平衡、データマイニング、コンピュータ、iPS細胞など、著者の話は古代中国から近現代まで自由にかけめぐる。