世界的に活躍し、美術界で確かな存在感を放つ現代美術作家・加藤泉。1555年に京都・烏丸三条で創業し、2025年に創業470周年を迎えた京友禅の老舗・千總。「加藤泉×千總:絵と着物」と題された展覧会で発表された着物作品は、加藤によるスケッチをもとに、糸目友禅や描き友禅、絞り染め、刺繍、仕立てまで、20から30にもおよぶ伝統的な工程と京都の専門職人20名以上のチームワークによって完成しました。特に「人型(ひとがた)」と称される加藤特有のモチーフは、加藤自身も自ら筆をとり、伝統的な友禅の技法によって描いています。また、着物としては製品化されなかった生地を使用した作品も誕生しました。
本書では、作品や展覧会の記録にとどまらず、そのコラボレーションの制作工程を丁寧に記録することで、創作の核心に触れようと試みます。
加藤と千總社長の礒本延の対談、加藤との交流の深い表現者、桂南光、南果歩、槇原敬之が作品を着用したポートレートも収録。