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人生に起こり得るすべての勝負ごとはやはり体力から始まるのだ
栗山店長コメント
栗山店長コメント
「ないと思って探すから、ないんだ!」
盤上で息を呑む攻防が繰り広げられる中、主人公に届いた「声」。まるで読んでいる自分に向けられているかのように、グサッと刺さりました。
長い将棋の歴史で、無冠のまま40歳を過ぎた棋士がその後タイトルを獲得した例はなかったと言います。
プロになる早さ=才能と言われる過酷な、ある意味残酷とも言える世界において、46歳になる男はなぜ奇跡を起こすことができたのでしょうか。
誰しも挑戦を重ねていけば、自分にはできないかもしれないと頭をかすめる瞬間があります。そこが勝敗を分かつポイントなのだということを、それを超えた時に何かが起こるのだということを、この作品は気づかせてくれます。
また、知力の戦いの最高峰とも言われる将棋が実は肉体的な”格闘技”でもあり、人生に起こり得るすべての勝負ごとはやはり体力から始まるのだということも教えてもらいました。
気づけば主人公の生き方に憧れ、その人間力に心を震わせ、涙が溢れていました。
この作品に出会い、素晴らしい時間をもらえたことに感謝です!

生きがいとは何か、人はどう生きなければならないのか
栗山店長コメント
「常識を養うのに読書の必要はないかもしれぬ。そしてまた日常の事務を処理して行くのにも読書の必要はない。しかし、人をリードして行くには、どうしても読書しなければならぬ。明日起こってくる問題を知るためには、どうしても読書しなくてはならぬ」
昭和5年、濱口雄幸総理とともに命がけで「金解禁」を断行した井上準之助蔵相の言葉です。
性格も境遇も正反対の二人ですが、決して判断を間違わないよう絶えず学び、国のために己のすべてを尽くさんとする井上蔵相に、濱口総理は全幅の信頼を寄せました。
近代日本の歴史の中で最も鮮明な経済政策と言われた緊縮財政と行政整理による金解禁は、二人の生き様そのものといってもいいでしょう。
東京駅で狙撃され重傷を負った濱口総理は、「総理たる者が国民との約束を守らなければ」と、靴さえ重くて歩けない状態にもかかわらず、布を足に巻きつけ、黒く塗って靴を履いているように見せかけ国会に登壇しました。
生きがいとは何か、人はどう生きなければならないのか。多くの示唆を与えてくれる、心の底から読んでほしいと思える一冊です。

「古典」とされる書物は、学びを得るにはこれ以上ない貴重な財産
栗山店長コメント
栗山店長コメント
「古典」とされる書物は時代を問わず読まれ、様々な解釈をされ、多くの人に大切にされてきただけものだけが残っている、それだけに学びを得るにはこれ以上ない貴重な財産なのだと感じています。
監督時代には日々悩み、苦しむ中、いつも何かヒントが欲しくて古典を貪るように読んでいました。本を読むというより、古典の活字に答えを求めている感じだったと思います。
「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」
武士は常に死を覚悟し、その覚悟を持って生きるべきであることを説き、武士道の根本的な精神を著した『葉隠』(はがくれ)は、江戸時代中期に書かれた書物で、佐賀藩士の山本常朝が武士としての心得を口述し、それをまとめたものとされています。
そしてここで紹介する『葉隠入門』は、その古典に感銘し、愛読した三島由紀夫さんが、『葉隠』を噛み砕き、解説した一冊で、三島さんがそれをどう読んだのか、その解釈は本当に腹落ちしました。
緊張感のある内容ではあるのですが、こんな風に生活してみるといいよ、といった現代にもつながることが随所に記されているんです。
さぁここからピリッといこうぜ!なんて人にはピッタリです。

栗山英樹氏と有志による
北海道栗山町の手作り天然芝球場
栗の樹ファーム
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。
栗山英樹書店について
北海道日本ハムファイターズ、野球日本代表「侍ジャパン」を監督として率いた栗山英樹さん。この連載では毎回、その真摯で“実践的”な人生論に根差した書籍たちをご紹介いただきます。
2025-05-21
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。

前半 / ジュンク堂書店現役書店員 大賞受賞
後半 / 犬怪寅日子さんインタビュー


