

今回のキーワード
大切な人への思いが詰まったそれぞれの「表現」、それぞれの「形」
栗山店長コメント
栗山店長コメント
「だからね、十和。あなたが正解なの。どうしようもなくあなたが正解」
「家族の幸せに決まった形なんてあるはずない」
そう、この物語は「家族の幸せの形」を私たち読者に問いかけます。
小学校最後の夏休み、感情を爆発させてしまった主人公の十和。
そんな中、中学受験に向かう彼女に寄り添う家族、友人、先生の思い……。
血がつながっていようがいまいが、愛情の強さに変わりはありません。
世の中には説明することのできない事情もたくさんあります。
大切な人への思いが詰まったそれぞれの「表現」、それぞれの「形」に感情を揺さぶられ、後半、涙が止まりませんでした。
「どこにでもありそうな家庭」という表現がふさわしいかどうかわかりませんが、決して特別な状況ではないだけに、多くの人の心に訴えかけるのだと思います。
「本当に人っていいな」と思わせてくれます。
さらにもし時間が許せば、書店を舞台にした著者のエンターテインメント小説『店長がバカすぎて』、『新!店長がバカすぎて』の人気シリーズも手に取ってみてください。併せて読むと、きっと最後の場面がよりリアルに感じられると思います!
早見和真さんの作品で、ぜひ人のやさしさに触れてください。

何も言わずに読んでみてください。 本に接していて良かったと必ず思えるはず。
栗山店長コメント
高校生の夏木林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。
トラネコは、本を守るため林太郎の力を借りたいという。
ファンタジー小説です。
ファンタジーといえば現実世界ではありえない空想をベースとした物語ですが、その設定を忘れさせるほど、ここで語られる「本」の存在意義は鮮明でした。
「大切にされた本には心が宿り、そして心を持った本は、その持ち主に危機が訪れた時に必ず駆けつけて力になる」
「読んで難しいと感じたなら、それは新しいことが書いてあるから難しいんだ。難しい本に出合ったらそれはチャンスだよ」
「読み継がれてきた本には、どれほど時代が変化しても、変わっていないもの、変わってはいけないものが書かれている。人間の本性にかかわる大切な事柄が記されているのである」
私は監督時代、本当に数えきれないほど本に救われてきましたが、その本という存在をうまく説明する言葉は残念ながら持ち合わせていませんでした。
それがこの作品の中では、思わず頷かされる言葉の連続で、物語の世界とそれを読んでいる私の住む世界、どちらが現実なのかわからなくなるほどで……(苦笑)
何も言わずに読んでみてください。
本に接していて良かったと必ず思えるはずです。

これから、 誰かを導かなければいけない方へ。
栗山店長コメント
栗山店長コメント
「教育とは、流れる水に文字を書くようなはかない仕事なのです。しかし、それをあたかも岩壁にのみで刻みつけるほどの真剣さで取り組まなければならないのです」
教育者の原点と思う、森信三先生。
私の身体に入った言葉は数限りありません。
「修身」(しゅうしん)とは「身を修めること」を意味し、戦前の小学校で教えられていた現代の「道徳」にあたる科目です。
そして、この『修身教授録』は、森先生が大阪天王寺師範学校(現・大阪教育大学)で教鞭を執っていた時期、教師を目指す学生に向けた講義の内容を生徒が筆録し、まとめたものとされています。
たとえば、全員分のお弁当が用意されていたはずが一つだけ足りない。
誰かに「あなただけ食べないで大丈夫ですか?」と言われれば、何で自分がと思う。
しかし、「いつも自分は恵まれているので、今日はみんなのために辞退しよう」と自分から思うことができれば、喜んでそれを受け入れることができる。
つまり思考の方向性だけで、多くのことが変わる。
そういった、本質的かつ簡潔に人生の要諦が記されています。
これから、誰かを導かなければいけない方へ。
ぜひ、ぜひ、ぜひ。

栗山英樹氏と有志による
北海道栗山町の手作り天然芝球場
栗の樹ファーム
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。
栗山英樹書店について
北海道日本ハムファイターズ、野球日本代表「侍ジャパン」を監督として率いた栗山英樹さん。この連載では毎回、その真摯で“実践的”な人生論に根差した書籍たちをご紹介いただきます。
2025-06-27
栗山店長からのご挨拶
自分の人生で経験できることは限られていますが、私たちは「本」を通じて先人の素晴らしい経験や考え方を学ぶことができます。
また、人としての大切な情緒を熟成するには、動画だけでなく文字から取り入れ、自分の頭で考える時間がどうしても必要だと私は思うのです。
そこで今回、こんな場所を作ってもらいました。
大変な時代だからこそ、自分の助けになる一冊と出会うきっかけになったら嬉しいです。

前半 / ジュンク堂書店現役書店員 大賞受賞
後半 / 犬怪寅日子さんインタビュー


