がんの医学・医療的知識から経過別看護、症状別看護、検査・治療・処置別看護、さらにはサイコオンコロジーにいたるまで、臨床に役立つさまざまなテーマをわかりやすく解説し、最新の知見を提供。
施設内看護から訪問・在宅・地域看護まで、看護の場と領域に特有な問題をとりあげ、検討・解説。
告知、インフォームド・コンセント、生命倫理、グリーフワークといった、患者・家族をとりまく今日の諸課題についても積極的にアプローチし、問題の深化をはかるべく、意見交流の場としての役割も果たす。
【特集にあたって】 *抜粋・改編
2025 年,日本に約800 万人いる「団塊の世代」が75 歳以上になるとされる,いわゆる「2025 年問題」を迎える年が,いま現実となった.計算上は国民の4 人に1 人が後期高齢者という社会へと向かっているなか,がんの罹患率においても年齢階級別ですべてのがんで上昇傾向にあり,とくに女性に比べて男性では高齢になるほど高率でがんに罹患しているとされる.また,がん死亡率においても,後期高齢者のがん死亡率が高く,年々増加傾向であることがわが国の特徴とされている.
がん治療は,殺細胞性抗がん薬をはじめ,分子標的治療薬や免疫療法薬など数多くの薬剤が発展し,テーラーメイド治療が可能な時代となった.また,支持療法の開発も目覚ましく,現在はがん治療と共生しながら生活することができるようになってきたが,高齢がん患者においてはいまだ課題が多く残っている.加齢に伴う生理的変化や併存疾患の多くは,がん治療の効果や有害事象の出現リスクに影響し,認知機能低下による心理社会的な苦痛や意思決定の困難さは治療アドヒアランスに影響を及ぼす.加齢に伴う心身の機能低下は個人差が大きく,一様ではない.また,がん治療による医療費や物価高騰に伴う生活費などの経済的負担は,治療継続の障壁となることもある.2025 年に認知症高齢者は約320 万人になると推計され,高齢者世帯の約7 割が独居もしくは高齢夫婦のみの世帯となることが見込まれており,がん治療を受ける高齢患者をとりまく課題は多種多様で苦渋することが多い.そのため,高齢者を年齢や見た目だけで判断し治療の適応や治療方法を決めるのではなく,高齢者機能評価(geriatric assessment:GA, comprehensive geriatric assessment:CGA)を用いて包括的にアセスメントし,高齢がん患者が安全にがん治療を受けられ,安心した生活を送ることができるよう多職種で支援することがガイドラインにおいても推奨されるようになってきた.
そこで,本特集ではGA・CGA を用いた支援について多職種のエキスパートの方々にご執筆いただきました.本特集を手に取っていただいた皆さまが,GA・CGA というツールを用い,高齢がん患者さんの治療に伴う苦痛や苦悩に目を向け,多くの職種と協働しながら“生活”を支えられるための一助となる内容になっていると幸いである.