特集1:看護師だからこそできる“寄り添い”のかたち ~エキスパートの実践に学ぶ~
寄り添うという言葉はよく使われる言葉ですが,その本質や実態は曖昧です.
がん患者・家族にかかわる看護師は,診断期,治療期,再発期,終末期,どの病期においても,がん患者・家族が今なにを大切にし,なにを求め,なにに悩んでいるのかを理解しようと努め,少しでも力になりたいと日々奮闘しています.しかし,自分は患者・家族と関係性を築けているのか,患者・家族の意向を尊重できたのか,自分の行ったケアはあれでよかったのか,そのケアのプロセスを省察する機会をもてず,自分の実践が看護としてかたちづくられないまま,不全感や自信のなさを抱えているのではないでしょうか.
そのため本特集では,あえて「寄り添い」という言葉を使うことにチャレンジし,看護師だからこそできる,寄り添う ことの実践について考えてみたいと思います.看護師は看護師であるがゆえに,普段であれば他人には見せないであろう患者の身体に触れることを許されています.そして病いのために生活の変化を余儀なくされる患者の生活の細部を観て整えることを通して,患者・家族の心身の回復を支えています.がん患者・家族の日々の療養や生活を身近に看ている(観ている)看護師だからこそできる「寄り添い」の本質とそのかたちを,エキスパートの皆さんの事例を通した実践から学んでみたいと思います.
本企画が,がん看護を担うすべての看護師にとって,自分の看護実践をかたちづくる一助となれば幸いです.
編集:川村三希子(札幌市立大学看護学部)
特集2:5 年目までにマスターしたい! がん看護技術
病院内における看護の実情を見ると,在院日数の短縮化に伴って業務は繁雑化し,新人が一人前と呼ぶにふさわしい看護師に成長する過程においては,看護技術を学ぶ場・機会をつくることが非常に困難な状況となっています.詳しく言うならば,業務量の過多により教える側の先輩看護師も余裕がなく,後輩看護師へ看護を提供するうえで,なにを観察すべきなのか,それはどうしてか,観察したことがなにを意味するのか,どんな危険が予測されるのか,ゆえにどうしたのか,その結果どうだったのかなど,患者状態のアセスメントおよび自らの技術を言語化し伝える,互いに確認し合い,高め合う機会をもちにくい状況とも言えます.また,働き方改革により教育のための時間拘束ができないこともあります.
そこで,本特集では,一人前と期待されている5年目看護師に向けて,看護技術の根拠となる最新の知識を提供し,ケアの受け手の特徴をとらえて個別的なケアを提供する際の“コツ”と呼べる看護技術を解説しました.この3 つの看護技術はがんと診断された患者さんの「治療を支える」「生活を支える」という視点で必要不可欠なものです.
編集:坪井 香(神奈川県立がんセンター看護局/がん看護専門看護師)