【『がん看護』の特長】
がんの医学・医療的知識から経過別看護、症状別看護、検査・治療・処置別看護、さらにはサイコオンコロジーにいたるまで、臨床に役立つさまざまなテーマをわかりやすく解説し、最新の知見を提供。
施設内看護から訪問・在宅・地域看護まで、看護の場と領域に特有な問題をとりあげ、検討・解説。
告知、インフォームド・コンセント、生命倫理、グリーフワークといった、患者・家族をとりまく今日の諸課題についても積極的にアプローチし、問題の深化をはかるべく、意見交流の場としての役割も果たす。
【特集にあたって(序文)】
最新がん統計によると,2009~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率は64. 1%で,2人に1人は生涯のうち一度はがんに罹患し,3 人に1人はがんで亡くなる時代です.がんの罹患は年間100 万例を超えており,年々増加しているにもかかわらず死亡者数は横ばいであることは,検診による早期発見が認識されてきたこと,新たな治療方法や治療薬が開発され,医療の目覚ましい進歩を遂げていることが要因であるといえます.
がん患者の皮膚が損傷しやすくなる要因には,生理的要因(加齢),疾患的要因,環境的要因(乾燥,喫煙,スキンケア習慣など),治療的要因(薬剤,放射線など)が挙げられます.
これらの皮膚障害の多くは,生命に直結するような症状になることはありません.しかし,皮膚障害があることで生活の質(QOL)を著しく低下させ,他者に見られることのみならず,自分自身を鏡で見ることで大きな精神的苦痛となることがあります.そのため,スキンケアは,皮膚の健康状態だけでなくQOLを維持するために不可欠な技術なのです.とはいえ,どのようなケアがよいスキンケア,正しいスキンケアかは一言では表しきれません.なぜなら,続けられないスキンケアは,その人にとって正しいスキンケアではないからです.個々で皮膚の状態や生活の状況が異なるため,無理なく継続できるケアでなくてはならないと考えます.
本特集は,がんの治療を終えた患者もしくは治療継続中の患者が,日常生活へ戻る過程で抱えるスキンケアの課題や不安に着目していきます.退院をして在宅に移行しても継続したスキンケアを実践するために,基礎知識から,さまざまな皮膚トラブルを想定した実用的なスキンケアやその指導についての提案をします.日々の実践に活かすヒントになれば幸いです.
森岡直子(静岡県立静岡がんセンター認定看護師教育課程)