皮膚病診療2025年1月号
特集 他科との連携が重要な皮膚病
(馬場 直子 編集委員)
人体の最外層にある皮膚は,誰の目にもみえるため多くの疾患の初発症状になる可能性がある.とくに小児では結節性硬化症の葉状白斑,神経線維腫のカフェオレ斑,Gorlin症候群やPeutz-Jeghers症候群の顔面や口唇の色素斑,SLEの顔面紅斑などが初発症状となり,皮膚科を初診するケースは多い.成人の後天性疾患でもLeser-Trélat signのように皮膚症状から気づかれて全身疾患が発見されることがあり,デルマドロームを疑う患者が受診した際,何を考えて何科に併診を仰ぐべきかを直ちに考えて行動に移すことが,患者の予後に大きく関わる.また,皮膚疾患の治療中に生じる合併症で他科の診察・治療を並行しなければ解決できない場合もある.そのような観点から今回は「他科との連携が重要な皮膚病」をテーマとした.
「総説 1」では,皮膚科における心身症とその対応について,羽白 誠先生に解説いただいた.アトピー性皮膚炎,乾癬,痤瘡などは心理社会的要因が大きく影響してくる疾患であり,抜毛症,自損傷,皮膚寄生虫妄想などは,根底に精神疾患があり皮膚に症状が現れてくる疾患である.そこをよく理解して精神科とうまく連携を図る必要があること,さらに皮膚科医でも使いやすい抗精神病薬なども紹介していただいている.また「総説 2」では,全身性自己免疫性疾患の1つである全身性強皮症において,間質性肺炎や逆流性食道炎,肺高血圧症などの臓器障害をきたすことを念頭に置きながら,病態に基づいた治療方針を立てることの大切さを沖山奈緒子先生にご教示いただいた.
「臨床例」では,多発性脱色素斑から診断に至った結節性硬化症の乳児例,Orofacial granulomatosisからCrohn病の診断に至った例,肉芽腫性口唇炎から埋伏智歯がみつかりその治療で速やかに改善した例,外歯瘻から薬剤性の顎骨壊死が判明した例,顔面の腫脹を契機に肺癌が発見された上大静脈症候群など,皮膚疾患を契機に他科での診断・治療を要した症例を多く取り上げた.また,皮膚科疾患で合併症として他科の診断を仰がなければならない疾患として,眼症状を呈したTENの小児例,神経Sweet病,腸管虚血を生じた広範囲熱傷,閉塞性細気管支炎を伴った天疱瘡,脳症を発症した帯状疱疹,ガス壊疽と判明し速やかな下腿切断で救命しえた例などがある.
どの症例も皮膚だけをみるのではなく,ほかの臓器にも目を向ける必要性を痛感させられる症例ばかりであり,ぜひ生きた教訓として読んでいただきたい.