■2025年を展望する
時代の転換は案外突然やってくるのかもしれない。米大統領選では劣勢と思われたドナルド・トランプ氏が圧勝した。欧州でもトランプ氏と同じように移民排斥・自国中心主義を主張する政党が躍進した。2025年は第2次世界大戦が終結して80年の節目に当たる。この間に培われた自由と平等を基調とした世界観は崩れつつあるようにも思える。今後は否が応でもトランプ氏の言動に世界は振り回されていくだろう。ウクライナやガザでの戦争の行方も不透明なままだ。では日本はどうか。衆院選での自公過半数割れはあたらしい政治体制を生むのか、それともさらに混沌となるのか。経済を見るとアベノミクスの遺産である低金利、円安誘導からの脱却ができるのか。そして敗戦から80年たっても解決されない戦後処理問題をどう清算するのか。特集ではこの時代の転換点に立って過去を見つめつつ、未来を見据えたい。
●【凱風快晴ときどき曇り・特別編】民主主義の成熟度
内田樹
●【国際情勢】四つの危機で最も不安定な局面に
先川信一郎
2025年の国際情勢は地政学的な緊張と不確実性が交錯し、冷戦終結以来、最も不安定な局面を迎える。ウクライナ戦争と中東紛争、米中対立、朝鮮半島情勢の四つの危機は、第3次世界大戦にエスカレートする危うさをはらむ。ウクライナ戦争は、トランプ次期米大統領とロシアのプーチン大統領が「力による平和」を押し進めるかが焦点となる。
●【経済】トランプと国内インフレが金融政策を振り回す
後藤逸郎
日銀が昨年末の金融政策決定会合で追加利上げを見送ったため、さらなる「円安」の懸念が強まった。2025年の日本経済は1月に就任するトランプ米大統領の一挙手一投足に振り回され、急激な為替変動リスクを抱えながら不安定な動きとなる。ならびに長引く国内インフレが金融政策を振り回すだろう。
●【環境〈原発・エネルギー〉】際立つ原発回帰の姿勢と偽りの「気候変動対策」
満田夏花
2025年はエネルギーに関する国の中長期的な方針を定める「エネルギー基本計画」の見直しが大詰めを迎えており、3月までには最終版が公開されるとみられる。並行して議論されている温室効果ガス削減目標も同時期に発表されそうだ。エネルギー基本計画原案は原発回帰、電力需要の過剰な想定、火力維持、消極的な省エネ目標など問題が多く、すでに複数の環境NGO、市民団体から多くの批判の声があがっている。
●【文化〈生成AIと音楽〉】脱身体化の流れ加速するか
松村洋
さまざまな質問に答えてくれる対話型のチャットGPTに代表される生成AI(人工知能)。絵画のほか、音楽分野にも浸透し、米国では著作権侵害として訴訟に発展する例も出てきた。今年も議論の的になりそうな「生成AIと音楽」について音楽評論家の松村洋さんが現状と論点を紹介する。
◆日本と世界の主なスケジュール
先川信一郎