■憲法特集2025
1947年5月3日に日本国憲法が施行されてから78年。当時、憲法の理念は日本のみならず、戦争で疲れはてた世界の人々の希望でもあった。しかし今や独裁国家が闊歩し、トランプ大統領の再登場で憲法の産みの親とも言える米国が建前の理想を捨てようとしている。この混沌とした時代だからこそ、原点に戻り憲法を考える必要があるのではないか。まずは、憲法前文は「現実的な理想」と説く憲法学者・植野妙実子さんのインタビューから。
●憲法学者・植野妙実子氏に聞く
平和的生存権・国際協調主義・民主主義
憲法前文は戦禍から生まれた「現実的な理想」
日本を含む世界の国々は、自国の利益のために戦争を繰り返してきた。第2次大戦後も戦争は起きているが、できるだけ武力による問題解決手段から遠ざかって平和と共栄を目指すという建前は共有し、各国が努力を重ねてきたはずだった。しかし、現在、この建前をかなぐり捨てて侵攻に走り、他国を蔑ろにする「自国第一主義」とも言うべき動きが広がっている。日本の政治も危ういが、しかし私たちには日本国憲法がある。平和的生存権や国際協調主義を掲げた前文を中心に、その意義を改めて考えたい。再び同じ過ちを繰り返さないために。
●横行するマタハラ、セクハラ、賃金格差
「女性活躍」の陰で封じられる女性の対抗権
竹信三恵子
性差別の禁止が憲法14条でうたわれ、「女性活躍」が喧伝されるいまの社会にあって、「活躍のスタート地点にさえ立たせてさえもらえない」女性たちがいる。それはなぜか。どうすればいいのか──。
●最新版「9条の碑」を歩く 建設の勢いが加速し急増
何が人々を駆り立てるのか
伊藤千尋
「戦争の放棄」を謳う日本国憲法9条や、平和的生存権の根拠となる前文などを刻む碑の建立が全国で続く。碑を建てて何になるのか、という声もあるが、2018年に本誌で初紹介してからこの間、建立のスピードは加速している。それは、今世界で起きている攻撃・戦闘や日本を含む軍事強化に対抗するために自分も何かしたいという強い思いの表れだろう。新規建立の碑を中心に紹介する。