■フィリップスの「無呼吸症」治療器で健康被害の疑い
萩一晶
夜中に大いびきをかき、ときどき呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」。その治療に使われる米フィリップス製のCPAP(シーパップ)装置などに欠陥が見つかり、発がん作用などの深刻な健康被害を患者にもたらす恐れがあるとして、2021年6月から世界で550万台もの回収が続いていることをご存じだろうか。なぜか日本ではほとんど報じられず、何が起きたのかも十分知らされないままになっている医療機器の「闇」。その実情に迫った。
●睡魔は去り、病魔が訪れた
CPAP使用歴15年 患者を襲った体の異変
●規制の網に開いた「穴」、メーカーは不可解な「報告」
世界を驚かせた大規模回収、日本ではひっそりと
電動歯ブラシやシェーバーなどでよく知られるフィリップスは、オランダにある「ロイヤル フィリップス」を親会社とし、世界の主要国に拠点をもつグローバル企業だ。医療機器も数多く製造しており、日本や米国にあるフィリップスは、その子会社にあたる。そんな大企業で、いったい何が起きたのか。これほど大規模な回収騒ぎが、ほとんど日本で知られていないのは、なぜなのか。
●米国では14万件の有害事象報告、日本では49人?
国への「健康被害」報告は氷山の一角か
フィリップス製の医療機器に使われている防音材が劣化する問題は、米国では大きな騒ぎとなっている。CPAPや人工呼吸器を使っていた患者が「重い健康被害を受けたかもしれない」などとする報告が、規制当局の米食品医薬品局(FDA)に14万件も届いているのだ。実は日本でも、健康被害が疑われるケースが表に出始めている。
◆患者の声
●大規模リコールから3年、新しい動きが続々と
日本のフィリップスは「 黒い粒子」をとっくに把握していた
2021年6月に米フィリップスがCPAPなどの大規模リコールを発表してから3年余り。日本でもようやく、自主回収が終了に近づいてきた今頃になって、これまで隠されてきた新たな事実が判明した。米国でも大きな動きが出ている。