■巻頭言
昭和100年に寄せて̶研究現場の変遷を振り返って/神戸大朋
■今日の話題
一細胞解析から見えてきた芳香族化合物分解菌の個性と社会/水口千穂,野尻秀昭
プラスミド保持細菌の生存戦略
脂質代謝及び抗酸化機能に与える食事由来酸化植物ステロールの影響
食事由来酸化植物ステロールの作用/小山智成,小原 唯,長田恭一
富山県産バタバタ茶の発酵特性と効能/森脇真希
希少な伝統後発酵茶について健康価値を見いだす
■解 説
【2025年農芸化学若手女性研究者賞】
動植物の低分子化合物認識や輸送機構の分子生物学的研究/永嶌鮎美
生命活動を支える化学感覚と物質輸送への新たな視点
本稿では,動物の嗅覚における嗅粘液の役割,植物の揮発性有機化合物受容機構,
そして膜輸送体の輸基質選択性の進化的な変化といった,
情報伝達カスケードの最上流に位置する因子の研究について解説する.
マメ科植物が根粒菌と共生を成立させるための機構/征矢野 敬
環境要因に応じた調節と適応
根粒共生は環境応答と結びついた分子ネットワークにより制御され,栄養や光環境に応じて
その適否を巧みに判断し,共生のコストと利益を最適化している.
その仕組みについての最近の知見を紹介する.
次世代「シス型」カロテノイドの実用化研究/本田真己
“似て非なる異性体” が切り拓く,新たなものづくり
カロテノイドは強い抗酸化作用をもつ一方,主に利用されるトランス型は結晶性が高く,
吸収性や加工適性に課題がある.
近年,高い溶解性とバイオアベイラビリティを示すシス型カロテノイドが注目され,
異性化制御を用いた新たな利用戦略が模索されている.本稿では,カロテノイドの
シス–トランス異性化の物性・生理機能への影響と,異性化技術による加工プロセスの効率化および
食品・化粧品・飼料素材の高付加価値化の可能性について解説する.
生細胞を用いたニコチン性アセチルコリン受容体の一分子運動計測チャネル開閉に関わる分子内の
動きを解析/西野有里,関口博史,佐々木裕次,宮澤淳夫
タンパク質は細胞内で様々な運動を行っていると考えられている.本稿では,
ニコチン性アセチルコリン受容体を例として,生きている細胞に存在しているタンパク質の
分子内運動を,X線一分子追跡法を用いて測定する方法について解説する.
■生物コーナー
巣仲間認識物質による社会性昆虫の複雑なコミュニケーションの仕組みと意義の解明
社会寄生アリにおける化学コミュニケーション/岩井碩慶,古藤日子
■農芸化学@High School
ローズマリー由来発芽抑制物質の探索/山形県立山形東高等学校
和歌山県産南高梅の特徴を活かしたフルーティーな香りの梅干しの開発
/和歌山工業高等専門学校生物応用化学科