展望|Perspective
中世ヨーロッパ・西アジアの国家形成と文化変容……大黒俊二/林 佳世子
一、トランスカルチュラルな絡み合い
二、ドイツ――帝国と王国
三、フランス――王権の拡大
四、イギリス――複合国家から島国へ
五、スペイン――レコンキスタとキリスト教諸国
六、イタリア――分裂から分裂へ
七、西アジア(一)――トルコ系遊牧部族の進出と軍人支配体制の成立
八、西アジア(二)――二つの文化圏の成立
九、バルカン・アナトリア――ビザンツ帝国からオスマン朝へ
問題群|Inquiry
中世ブリテンにおける魚眼的グローバル・ヒストリー論……鶴島博和
はじめに
一、岸辺の景観――紀元一棚棚棚年頃まで
二、水平線への目――一一世紀から一三世紀(紀元一〇〇〇-一三〇〇年)
三、水平線の彼方――一四世紀から一六世紀
技術と領海=公海――おわりとして
帝国領チェコにみる中世「民族」の形成と変容……藤井真生
一、中世の「民族」
二、中世チェコ国家の形成と帝国への従属――一棚世紀
三、帝国内でのチェコ人意識の萌芽――一一、一二世紀
四、ドイツ人植民の影響と言語中心主義の登場――一三世紀
五、宮廷の国際化とチェコ人定義の多様化――一四世紀
六、フス派運動と「チェコ人」――一五世紀
七、むすびにかえて
西アジアの軍人奴隷政権……五十嵐大介
一、中期西アジアの軍人政権と軍人奴隷
二、マムルーク朝の成立
三、スルターン位の継承ルール
四、軍人奴隷制と奴隷家族――主人-奴隷関係と同僚関係の理念型とその実態
五、婚姻関係と親族関係
六、「マムルーク化」とその背景
おわりに
焦点|Focus
異文化の交差点としての北欧……小澤 実
一、中世北欧世界の形成
二、辺境の軍事力――ヴァリャーギから十字軍へ
三、辺境のリソース――極域の動物資源
四、辺境の記憶――ノルウェー併合後のアイスランド
おわりに――中世グローバル・ヒストリーと北欧
レコンキスタの実像――征服後の都市空間にみる文化的融合……黒田祐我
はじめに
一、教会へと転用されたモスク
二、ハイブリッドな都市景観の形成
三、中世後期の「境域」――カスティーリャ王国とナスル朝の建築文化にみる文化変容
おわりに
宗教寄進のストラテジー――ワクフの比較研究……三浦 徹
はじめに
一、ワクフとはなにか
二、ワクフの盛行
三、ワクフの目的
四、寄進の比較研究
「女性の医学」――西洋中世の身体とジェンダーを読み解く……久木田直江
一、中世の病因論と身体論
二、キリスト教会と女性蔑視
三、産む性の身体
四、女性の医学
おわりに
イスラーム支配下のコプト教会……辻 明日香
一、はじめに
二、古代末期の継続と崩壊――初期イスラーム時代からアッバース朝期
三、復興期――ファーティマ朝
四、アイユーブ朝からマムルーク朝へ
五、おわりに
中世のユダヤ人――ともに生きるとは……佐々木博光
一、迫害か共存か――第三の道
二、西欧中世ユダヤ人史の画期
三、緊張のなかの共生
四、中世ユダヤ人史
五、結語
コラム|Column
セルジューク朝からオスマン朝へ――アナトリアとイスタンブルの刻銘文資料から……井谷鋼造
史実とフィクションのあわいを探る――歴史解釈としての映画の可能性……図師宣忠
西アジアのキリスト教をめぐる環境の変容――バルヘブラエウスの生涯を例に……高橋英海
朝河貫一とグレッチェン・ウォレン……甚野尚志
子を喪ったイスラーム教徒に いかなる慰めがあり得たのか……大稔哲也