表題「澤」は、小澤が主宰する俳句誌の名に拠る。
本句集には、結社「澤」の20周年への祝意と感謝が込められている。
平成12年(2000年)から平成24年(2012年)に詠んだ作品を収載。
この時期、芭蕉にゆかりのある地を中心に日本のさまざまな場所を訪れ、豊かな自然と奥深い歴史に分け入った。
その体験が本句集に色濃く反映されている。
『瞬間』(第57回読売文学賞詩歌俳句賞)に続く、18年ぶりの第4句集。
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島すべて熊蝉領や朝より
ひとすぢの光は最上鳥渡る
等伯をにくむ永徳草の花
風邪心地ノートパソコン点滅す
さざなみにさざなみあらた花待てる
青嵐われら富士への斜面にあり
御柱八十五度やなほ立てむ
ふかく眠りぬ秋草の生けあれば
たかだかと鳥帰るなり岳の上
蟻地獄雨一滴のひびきけり
水取の火の粉にいのち我に来ぬ
百年後全員消エテヰテ涼シ
熊が肉猿が肉と一包み
翁に問ふプルトニウムは花なるやと
月光の閻浮檀金を浴びにけり
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装丁・本文レイアウト 山口信博
DTP 玉井一平
装丁写真撮影 大友洋祐
装画 「垂迹曼荼羅残欠」