中華帝国と列島の軍事政権、その”狭間”に立つ王国は、過酷な国際環境を生き延びるために「両属」の道を選んだ。
大陸王朝の庇護のもと、東シナ海の貿易王国として繁栄を誇った琉球であったが、
明が衰亡し、列島に徳川幕藩体制が形作られると、安穏とはしていられなくなった。
島津氏による強力な軍事的圧力には抗しきることができず、ついにその支配下におかれてしまう。
だが、彼らはそのまま列島の体制にのみこまれたのではなかった。
琉球王国は島津氏の支配に従うことになってからも、同時に清王朝に臣下として服属し続けたのである。
この「両属」という、一見すると特異におもわれる外交関係は、いかにして成り立ったのか。
そこには、「主権」「領土」という近代的な国際関係観では捉えられない論理が作動していた。
唐〔トー〕=中華王朝と大和〔ヤマトゥ〕=日本の狭間で、存立を賭けて展開する御取合〔オトゥイエー〕=外交の実相を、琉球・大陸・列島それぞれの当事者の目線で描き出す。
琉球史研究をリードする著者による、沖縄の、日本の歴史を理解するための必読書!
[本書より]
私たちは「今」にどっぷりと浸かっている。「今」以外は見えづらいし、「今」が正しいと思いがちだ。その「今」から見るとどうしても理解しがたい琉球の国際的な「あり方」の歴史を、本書ではできるだけ詳しく、できるだけリアルにひもといていきたい。最後まで読んでいただくと、琉球の「あり方」への疑問はぐっと減り、ともすると「今」が少し、もしかしたらかなり、奇妙に見えてくるのではないだろうか。
[本書の内容]
プロローグ
第一章 海の貿易国家──中華の傘の下で
1.「海域世界」の幕開け
2.琉球国の成立
3.海の主役・琉球
コラム 琉球の言葉と文字
第二章 秩序変動のなかの琉球──明と日本の狭間で
1.揺らぐ明の傘 海禁=朝貢体制の動揺
2.島津氏の侵攻と日明関係
3.「狭間の王国」の模索
コラム 「異国」と日光東照宮
第三章 中華の一変──明か清か
1.明清交替と琉球
2.康煕帝と琉球
コラム 「守礼之邦」
第四章 守礼と隠蔽──清と日本の狭間で
1.「清の朝貢国=琉球」と日本
2.儒教──程順則の外交戦略
3.「隠す」という外交
コラム さまざまな「両属」──琉球との比較
第五章 近代と「両属」──王国外交の終焉
1.欧米列強と琉球
2.明治政府と琉球
コラム ある内務省官吏の琉球滞在
エピローグ
参考文献
あとがき
索引