切ない友情を描く珠玉のフランダース文学
語れない過去を抱えた子どもと、守りたいと願った子ども。
この小さな友情は、
世界の残酷さを、
やさしく照らす。
ーーサヘル・ローズさん(表現者)
90年代後半のベルギー・フランダース地方。2歳年上のコソボ難民の転校生トリスタンのお世話係をしている10歳のジミー。家庭の愛に恵まれず孤独な思いをしながらも、フリッポ(スナック菓子のおまけのメンコ)の蒐集に情熱を燃やし、それ以外の時間はトリスタンが1日も早く地域に馴染めるように、彼と彼のきょうだいたちの世話を焼いている。トリスタンも、少しずつ過去の辛い思い出が薄れ、日に日に新しい生活に馴染むようになった。そんなある日、トリスタン一家に国外退去命令が下されてしまう。ベルギーに留まりたいトリスタンは、ジミーにある計画を持ちかけるが…。
オランダの2023年〈本の週間〉プレゼント本として刊行された、欧州の話題作。残酷な紛争を背景に、少年2人のちょっとずれていて切ない友情を描いた、珠玉のフランダース文学。
【編集担当からのおすすめ情報】
本作は、1998年にコソボ紛争の戦火を逃れてベルギーのフィアセル村にやって来た10人家族の実話にインスピレーションを受けた著者がオランダ語で描いた物語です。紛争によって多くの難民が生まれることは広く知られていても、難民として他国へ渡る道中でどれほど大変な思いをするか、また無事に他国に辿り着いたとしてもその後もそこに居続けられることが難しいことは、日本ではあまり知られていないかもしれません。
トリスタンという少年を通して、そして彼との友情を育もうと一生懸命なジミーとトリスタンとの「ずれ」を通して、そのことに思いを馳せていただけたら幸いです。