彼らは、なぜ「境界」を越えるのか? 異常は、いま日常になった。
近年、北海道・東北地方を中心にヒグマ・ツキノワグマによる人身被害が急増し、社会的関心が高まっている。
かつて山奥の存在とされた熊は、いまや市街地や住宅地に姿を現し、全国ニュースをにぎわすまでになった。
こうした「熊害(ゆうがい)」は、単なる野生動物の異常行動ではなく、人間社会の構造変化や環境の破綻を映し出す問題である。
本書では、札幌在住の獣医師×ハンターの著者が、自身のリアルな経験と科学的知見を交差させ、ヒグマの生態、環境変化、人間社会の要因を多角的に分析。
さらには、過去の重大事件から近年のOSO18、そして昨年発生した福島町と羅臼岳の人身事故を取り上げ、事件史を体系的に整理することで、「熊害」の構造と時代的変化を明らかにする。
恐怖や感情論に流されず、冷静な分析と現場からの声を組み合わせることで、北海道のみならず日本社会全体に突きつけられた喫緊の課題を描き出す。
序 章 なぜ「熊害」が社会問題となったのか
第1章 ヒグマはなぜ山を下りるのか
第2章 共生と境界はどこで崩れるのか
第3章 ヒグマ事件史――過去から現在へ
第4章 ヒグマの生態と人との距離
第5章 熊害対応の最前線で考えたこと
第6章 ヒグマとどう向き合うか
終 章 真の「共存」をめざして