生物学の基本原理を理解する上で、構造生物学は必要不可欠である。どのような形をした生体機能分子がどのように働いて生命現象を担っているかは、現在まさに構造生物学による研究が進行中である。本書では、第一線の専門家による最新の構造生物学の研究成果を解説する。生物学は非常に幅広い学問分野であるが、本書の第1章と第4章で、遺伝情報の維持、転写、翻訳、そして生合成されたタンパク質がどのように細胞内で働くか、といった主要な部分について重点的に解説する。特に第4章は、構造生物学の専門家がその切り口で生命現象の最新の解説をしているという点で貴重でかつ興味深い内容である。第2章では、生体分子の形を計測する手法について解説する。第4章で述べた最新の知見は、ここで解説された様々な手法と細胞生物学的研究成果から得られたものであり、その中でも最も重要な放射光X線結晶構造解析は、KEKで実際にその測定装置の開発を行った専門家によって第3章に執筆された。第2章、第3章で扱う最新の構造解析の測定手法や装置の実際の詳細はまとまった成書が無く、ぜひ多くの読者に目を通して頂きたい。