その生い立ちから3度目の遠征に向かう航海の途上で急逝するまでの行動と社会的背景、家族、恋愛と結婚、夫婦関係、成功と失敗、人間的弱点と強さ、活躍と挫折など、極地探検家シャクルトンの知られざる人間像を描き出す。
アーネスト・シャクルトンは南極遠征を3度挑戦し記録を作ったが、遠征目的は達成できず、失敗した。
1回目はスコット隊長の「ディスカバリ―号」遠征に隊員として参加。スコットに従い極点制覇を目指すが、失敗。シャクルトンは壊血病で衰弱しスコットに「役に立たない隊員」として帰還させられる。
2回目はシャクルトン自身が隊長の「ニムロド号」遠征。ディスカバリ―号遠征から帰還して様々な職業に就くが、いずれもうまくいかない。他方で南極への憧れは抑えきれず、多方面に迷惑をかけながら大きな負債を抱え、再度南極へ出発する。しかしこの遠征も、極点までもう少しのところで食糧不足と体力の限界で達成できなかった。
3回目は「エンデュアランス号」による「帝国南極探検隊」。夢を捨てきれず南極大陸横断を目指したが、南極へ向かう海路で心臓発作のため急逝した。
シャクルトンは探検家としての輝かしい業績は残せなかったが、現代の偉大な探検家である著者は、自らの体験を通じて、困難をどう切り抜け、挫折を乗り越えるかという観点からシャクルトンの業績に注目し、また深く共鳴し、著者ならではの着眼でその実像に迫る。