三世紀半ばの卑弥呼から四世紀後半の百済、六世紀初めの磐井の乱まで、多くの史跡はあるが、人が活動した歴史史料が少ない空白の期間です。採集、狩猟の縄文文化から、稲作を中心とした弥生文化、古墳時代へと、人が集団化して動きが広範囲になり、数々のドラマが生まれてきたのだと思います。本書は「古事記」、「日本書紀」等を参考に、各地の史跡に立って思索し、埋蔵センター等で出土品を見ながら想像を広げ、古代の人の生活と権力誕生を描いた小説です。歴史論議を誘う意図はなく、登場する人名や地名、遺跡の名称は、「記紀」などの記述を少しアレンジしました。歴史とは「人」であり「人の行動」であり「行動を決める心」が歴史を動かしてきました。歴史のロマンや推論に正解はありません。そこに歴史の面白味があります。今、この時が歴史の始まりです、これからの歴史が平和である事を願っています。