本書は、著者が40年以上にわたり断続的に蓄積してきた研究成果を3部構成にまとめ上梓したものである。研究対象として選んだアメリカのコミュニティ・カレッジは、誰でも入学できる地域の2年制公立短期大学で、高等教育機会の均等を理念的基盤として地域社会(ローカル・コミュニティ)で発展してきた制度である。その意味で、高等教育の無償化、地域間格差の解消が叫ばれる今日の日本社会にとって参考になるのではないかと思われる。
戦後日本の短大のモデルともされたコミュニティ・カレッジ(但し、当時の呼称はジュニア・カレッジ)は、日本に比べ公立の比率が高く共学で地域住民等による公的サポートも存在する。1970年代以降は、成人学生の比率が上昇し、リカレント教育の拠点、中高年向けの公民館的な役割も高まる。近年、短大の衰退、リカレント教育への関心の高まり、コミュニティ・スクールの広がりなどを目にする日本において、本書は学校教育、高等教育、社会教育について再考する示唆も与えてくれるのではないかと考える。
戦後80年を迎える今年、本書には6-3-3-2制のルーツをたどる意味も込めた。研究者はもとより、コミュニティ・スクール、大学教育、社会教育、生涯学習のあり方に関心を寄せる多くの市民の皆さんに読んでいただければ幸いである。大学図書館や公共図書館で読書会等に使うこともお勧めしたい。