メリヤス工場、料理屋、書店、カフェーなどで働く日々、
関東大震災、戦争、文学、懐かしい人たち…
大正・昭和の東京を東から西へ。
工場で働く少女時代から、作家として焼け跡を歩く現在へ。
記憶の街や人の姿を鮮やかに描く代表作、待望の復刊。
エッセイ3篇を増補。
「それらの東京の街は、あらかた焼け崩れた。焼けた東京の街に立って、私は私の地図を展げる。私の中に染みついてしまった地図は、私自身の姿だ。」(「版画」)
向島のメリヤス工場、上野池之端の料理屋、日本橋丸善などで働く日々、関東大震災、心中未遂、芥川龍之介や中野重治らとの出会い、地下活動、小林多喜二の死、戦中の苦悩、夫婦のすれ違い、懐かしい人たち……敗戦後の焼け野原となった東京を前に、記憶の中の街と人をよみがえらせ、自らの軌跡をたどる連作短篇集。冴えわたる文体の代表作に、エッセイ3篇を増補。
解説 佐久間文子
カバー写真 桑原甲子雄
カバーデザイン 五十嵐哲夫