白色テロ、反右派闘争、文化大革命……激動の時代を生きた受難の記録 近現代中国文学を代表する女性作家・丁玲。その経歴につねにつきまとい、数々の批判の要因となった1930年代南京での国民党による秘密逮捕・監禁と転向疑惑。丁玲がその晩年、自らすべての真実を語った「暗黒の世界で」。反党集団を結成したとして右派のレッテルを貼られ北方の農場へ送られた60年代、文化大革命の批判闘争の中ですべての権利を剥奪され収容所に入れられた70年代を回想する「風雪に耐えて」。苛酷な時代の中で出会った人々、その筆は時に厳しく裏切り者を糾弾し、時に暖かく人情味あふれる無名の人々を讃える。晩年の丁玲が、自らの生命を賭けて描き出した語られざる自伝。
●編著者のことば
丁玲は嘘のない、言行一致の人だった、彼女は疲れ果てて自分の持ち場で倒れたのだ、……党と人民に恥じるところはない……丁玲は南京捕囚の時期の回想を「魍魎世界」と名づけたが、それは当時彼女の周囲にいたものはほとんどが「魑魅魍魎」で、まるで地獄と同様だったからだ……(反右派闘争から文化大革命にかけての)この回想が「風雪人間」と名づけられたのは、骨身に徹する厳寒の風雪に遭ったとしても、やはりそれは人間世界のことであり、風雪の中でも人の温かさを感じるという意味だ……(陳明「序」より)