文学キャンプとは、作家・文芸編集者・読者ら文学愛好者が一堂に会する文学研修合宿のことをいう。50年に及ぶこの一種独特の文学活動を実際に文学キャンプに参加した著者が分析し、現代台湾文学の一側面を論述する。
●編著者のことば
戒厳令期(一九四九~八七年)における文学教育は、中華人民共和国に対抗する反共教育の一環として展開されたため、国家規模で行われた。その中心的役割を担ったのが中国青年反共救国団である。……やがて反共という初志が形骸化した後も、この救国団による学校教育と連結した組織的な文学教育機能は維持され、現代文学の読書体験、創作、発表の機会は青年たちに提供され続けたのである。救国団による全青年への創作、発表の機会が維持されたことによって、文学への覇権意識、エリート意識といった幻想も保持され、広汎な読者層・作家層を基層とする「文化資本」たる文学が成立するに至ったと筆者は考えている。(本書「終章」より)