こぼれる詩情で笑みも齎す、
静かなトリローグ劇。
午前5時、夢のほとりで目覚める私たちは、海への道をゆく! さゆらぐ月の光のもと、凍てつくアスファルトから草木も背を伸ばし、ほのめく鳥たちが凛と羽ばたくように。響きあう3つの声が「あの日」からの心に笑みも齎す、静かなトリローグ劇。『モスクワの海』を併録。
*選考委員による〈選評〉
〈今いる場所からどこか遠くの場所を想像する人間の切実さ〉市原佐都子
〈感覚器に耳をそばだてながら紡がれた、息遣いと肌触りをもつ言葉たち〉上田誠
〈近景と遠景とがひとつながりであるということを詩的に示し得る、言葉を紡ぐ際の誠実さ〉岡田利規
〈ト書きまでもが朧(おぼろ)げに揺蕩(たゆた)う独特な文体は、小さな世界からの大きな旅物語に強く呼応〉タニノクロウ
〈この作品には過剰でない叙情と幽(かそ)けき希望がある〉野田秀樹
〈柔らかく、どこか現実離れしたような雰囲気を醸す台詞、普遍性を感じさせる物語〉本谷有希子
〈未来への思索を促す哲学的な問いを、壮大な時間スケールで、静かに、力強く投げかける戯曲〉矢内原美邦