• 発売日:2024/02/02
  • 出版社:白水社
  • ISBN:9784560093962
通常価格 7,700 円(税込)
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商品説明
本書は、「マルクス主義的活動」を理由にベルリン市立図書館司書の職を解雇された後、作家、英米文学翻訳家として活躍した文人が残した、貴重な一次史料だ。著者は共産主義の活動家でも前線の兵士でもなく、市井の「意図的傍観者」の立場を貫き、戦前から終戦までの12年間、ナチ政権と日々の出来事に毅然とした視線を向けてきた。
文学を語らい、室内楽を奏で、自然に親しむといった私的な記録だけでなく、新聞、ラジオ、人々の噂を冷静に分析し、戦況を注視し、為政者に対する失望と嘆き、彼らへおもねる同僚への憤懣を漏らす。ヒトラーやゲッベルス、御用学者に対する忌憚ない批判は見事に的を射ている。空襲の恐怖や食糧難も深刻だ。
著者は「戦争に向かっていく、いやな予感がする」と1933年11月に記し、大半の国民は政権に対して首を横に振り、政治家の言動に憤っているというのに、なぜ暴走を止められないのかと、もどかしさを感じている。そして、市民の密告者的性質、出世志向、打算的従順を指摘し、同調圧力や戦時統制の厳しさに多くが屈していく姿を描く。
読者は、今を生きる私たちが、戦前のドイツと似た状況に置かれていることを痛感するだろう。
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