パッシング/流砂にのまれて

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1920年代ニューヨーク。アフリカ系アメリカ人による初の文化運動「ハーレム・ルネサンス」が花開いた。彼らは黒人独自の文化アイデンティティを追求し、ジャズ音楽や文学活動、ダンス・パーティや集会で街は活気づいた。本書はこの期の最高傑作とされる小説二編を収める。
「パッシング」とは、肌の色の白い黒人が自らを白人と称して行動する実践である。幼なじみの女性が再会する。どちらもパッシングができるほど肌が白いが、アイリーンは黒人社会で堅実な家庭を築き、クレアは黒人であることを隠して白人と結婚生活を送っていた。クレアが子ども時代に暮らしていた黒人コミュニティに惹かれ、再接近したとき、事件が起きる。
「心から欲しいと思うものを手に入れるためには、何でもする人間なのよ、わたしは」(『パッシング』)。
作者の自伝的要素が色濃いデビュー作『流砂にのまれて』は、デンマーク人の白人の母、西インド諸島生まれの黒人の父をもつヘルガの遍歴を描く。「人種」の枠にも伝統的価値観にも宗教にも収まらない彼女は、カラーラインのみならず、いくつものラインの越境者であった。
苛烈な現実の中の生と性を繊細に描いた文学作品にして、ジェンダー・人種・差別・LGBT問題の必読書。
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