序 章 日本の化学繊維産業をみる視点――「消極的代替」から「積極的利用」へ
1 日本の化学繊維産業の1世紀
2 個別企業史研究の進展が示唆するもの
3 戦時期の代用品をめぐる技術開発
4 新しい素材としての価値
5 本書の構成
第1章 日本の合成繊維工業の確立と発展――「代用品」から「新素材」へ
1 戦前日本を支えた繊維産業
2 外からの圧力――ナイロンの衝撃
3 内からの圧力――綿代替・羊毛代替の要請
4 復興期の合成繊維工業をめぐる政策
5 先発企業によるナイロンとビニロンの工業化
6 ナイロンとビニロンの最適市場の創出
7 出揃う三大合繊
8 合成繊維工業への後発参入と競争の激化
9 代用品から新素材へ
補章1 アメリカでのナイロンの登場と市場確立――「好奇心」の対象から「生長」する素材へ
1 シルク、レーヨン、ナイロン
2 戦後のアメリカ市場の変化
3 ナイロンの最適市場の模索
4 ナイロンからの教訓
第2章 倉敷レイヨンのビニロンの工業化と市場確立――「エッセンシャル・ファイバー」と「アディショナル・ファイバー」
1 レーヨンから合成繊維へ
2 戦時期の繊維資源の不足と合成繊維
3 復興期のビニロン工業化の決断
4 「エッセンシャル・ファイバー」としてのビニロン
5 ビニロンの「チャンピオン政策」
6 「エッセンシャル・ファイバー」から「アディショナル・ファイバー」へ
7 化学メーカーに向かって
補章2 ビニロンの市場確立をめぐる大原總一郎の理性と感情――日記から読み解く経営者の内面
1 「エッセンシャル・ファイバー」観のもとでの技術志向
2 倉敷レイヨンの将来性と苦渋の選択
3 技術から販売への意識の変化
4 理性と感情の交錯
第3章 鐘淵紡績のカネビヤンの開発から撤退まで――技術的可能性と経営的事情のせめぎ合い
1 カネビヤン開発前史
2 戦時期のカネビヤンの開発
3 天然繊維事業の復元とカネビヤンの迷走
4 ビニロンの限界と「ファッショナブルな繊維」への志向
5 カネビヤンの終焉
6 技術的条件、経営的条件、市場的条件
補章3 もう1つの可能性であった再生絹糸――繊維資源の有効利用から生まれた化学繊維
1 再生絹糸の開発史
2 再生絹糸を取り巻く環境
3 再生絹糸への期待と工業化の可能性
4 遠のく再生絹糸の工業化
5 羊毛代替としての可能性
6 「絹の国」日本の技術開発
第4章 東洋紡績のアクリルの工業化と市場確立――天然繊維事業に規定された合成繊維の展開
1 レーヨン事業への進出と研究開発体制の確立
2 戦争の影響と有機合成化学研究の開始
3 終戦後の既存事業の復元と化学研究の中断
4 ビニロン研究からの再出発
5 綿紡織事業の浮き沈みの中での合成繊維の研究
6 天然繊維事業が後退する中での決断
7 羊毛代替からの脱却とアクリルの市場確立
8 新規技術と既存事業の葛藤
補章4 アクリル進出後の東洋紡績の合成繊維事業と非繊維化――繊維メーカーから化学メーカーへ
1 合成繊維への本格的な展開
2 非繊維事業としてのフィルム
3 繊維が化学と出合った意義
第5章 日本毛織の合成繊維紡績への進出――ファイバーメーカーからファイバーユーザーへ
1 1920年代のレーヨン事業への進出
2 1930年代の原毛事情の悪化とスフの取り組み
3 戦時体制下でのレーヨン事業からの撤退
4 一貫性を欠いた羊毛代替繊維の開発
5 羊毛紡織設備の復元と合成繊維の登場
6 合成繊維の登場に対応した社内研究会
7 新たな羊毛代替を謳った繊維への対応
8 合成繊維紡績への進出と鵜沼工場の新設
9 羊毛紡織企業としての合理的な判断
5 残された課題
補章5 粗悪品の代名詞とされたスフ――国策による強制の限界
1 戦時期にもみられたスフの品質向上
2 スフの強制混用の副作用
3 スフの経験が伝えること
第6章 呉羽紡績のナイロンへの後発参入と挫折――後発の不利を挽回する構想と現実
1 後発紡績企業としての出発
2 再度後発でのレーヨン工業への参入
3 ポリ塩化ビニリデン繊維の先発工業化
4 ナイロンへの後発参入の決定
5 ナイロンへの後発参入の狙い
6 過当競争の懸念のもとでのナイロン計画の推進
7 「ナイロン戦争」の中での挫折
8 後発参入を支えたもの
終 章 代用品を超えた存在へ――合成繊維の新しい価値
1 市場を通じた価値の創造
2 合成繊維の取り組みを左右した繊維観
3 合成繊維の展開に影響を及ぼす既存事業の能力
4 後発参入として生き残る力
5 残された課題
参考文献
初出一覧
あとがき
日本化学繊維産業史年表
企業名・団体名・組織名索引
人名索引
事項索引