本書は、社会生活の諸側面のなかでとくに職業生活とそれが営まれる場としての組織という領域に軸足をおいて、
こうした変化の様相をとらえ、その含意や課題を検討しようと試みている。
日本の経済社会はいま、技術革新と情報化、国際化のなかで、大きな変動にさらされている。
それに加えて、経済不況を蒙りながら企業間競争の激化に翻弄されている。環境保全に対する世論も高まってきている。
こうした状況に対応しそれを乗り越えるため、企業の内外でさまざまな取り組みが試みられている。
情報化、国際化にいま企業はどう取り組んでいるのか。
環境問題を企業はどう経営活動のなかに取り込んでいるのか。
企業内では人事処遇システムに「能カ主義」を大幅に導入し、
伝統的な年功序列と長期安定雇用の慣行を崩しつつあるかにみえるが、
そのもとで中高年従業員の職業人生の展望はどうなるのか。
若年層問題はどんな特徴を帯びてくるのか。女性労働はどう展開してくるのか。
他方、行政体に眼を転じると、ここでは規制の緩和や撤廃、国有企業の民営化、
行政業務の外部委託などが進められるなかで、公務労働にも合理化の波が押し寄せている。
それはどう再編成されていくのか。また、市場や行政から離れたところで、市民のボランティア的組織、
いわゆるNPOが活動を広げている。しかもこれには、たんに社会的ニーズの充足という対外的機能だけでなく、
企業や行政の官僚的組織のなかでの労働とは質的に違う、
自主的・自発的・自己実現的な入間的労働を構想していくという、対内的機能も期待されている。
こうした一連の動きを、実証的データを踏まえながら追究していく。
【執筆者】
石川晃弘(序章、第10章)、田島博実(序章、第6章)、林 大樹(第1章)、福谷正信(第2章)、
佐々木 茂(第3章)、山田修嗣(第4章)、星野 潔(第5章)、井出裕久(第7章)、加藤裕子(第8章)、
時井 聰(第9章)