本書は、2011年に提出された学位論文をもとにまとめられたものである。完全な治癒が難しい慢性疾患の1つである成人のアトピー性皮膚炎患者に焦点を当てたすぐれた学術書となっている。近年では、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は国民の5割が罹患する国民病であり、身近な疾病である。アトピー性皮膚炎は、以前には小児が主たる患者であったが、成人患者も増加し、難治化が指摘されている。アトピー性皮膚炎は生命を脅かすものでないにしても、個人の生活や自尊心に大きな影響を及ぼし、患者のウェルビーイング向上の対策が求められている。本書はこの要請に対し、アトピー性皮膚炎という慢性疾患患者の心理的健康を改善し、向上させるために何が有効なのかを、他者からのソーシャルサポートと病気に対する認知という側面から詳細に検討して答えている。
今後の応用を念頭において開発された2つの尺度、アトピー性皮膚炎患者におけるソーシャルサポート尺度とアトピー性皮膚炎認知尺度は、利便性の高い評価指標として今後の活用が大いに期待できる。また、アトピー性皮膚炎に対する肯定的認知とソーシャルサポートへの気づきを促すワークを含んだわかりやすいブックレットも、具体的な支援場面で使用できるものとなっている。
本書は、アトピー性皮膚炎患者という特定の疾患を有する患者を主な対象としているが、他の多くの慢性疾患患者支援においても参考にできる貴重な研究書籍となるだろう。