ショーペンハウアーの「意志の否定」は生存を放擲し否定するようなものではなく、むしろこの世での生存をより高い次元において肯定し、苦しみからの真の救済をもたらすものであった。
ショーペンハウアーのペシミズムの哲学は、この世に生きることを諦める「弱さのペシミズム」ではなく、この世に生きることに必死で意味を見出そうとする「弱き者のためのペシミズム」であると言える。
ショーペンハウアー哲学をキリスト教思想の伝統を受け継いだ一種の「宗教」として解釈し、西欧思想・文化史に新たな視座を提供した渾身の書籍。
本書からは哲学思想の分野(ニーチェ、ハルトマン、マインレンダー、ケーベル、ドイセン、ウィトゲンシュタイン)、文学の分野(マン、ケストラー、カフカ、トルストイ、ヘッセ)、音楽の分野(ワーグナー、プフィッツナー)におけるショーペンハウアーの救済論の影響を深い意味で読み解くことが可能となる。
付録として、ショーペンハウアーの主著『意志と表象としての世界』の邦訳文献を網羅した詳細な一覧を収録。