心理検査の結果は,それをどのように伝えるか,どのように受け取られるかによって,人を不安に突き落とす体験にも,希望をひらく支援にもなりうる。シリーズ「事例でわかる心理検査の伝え方・活かし方」の第3集は,「支援としての心理検査フィードバック」と題し,フィードバックを支援そのものとして捉え直す視点をさらに鮮明にする。
就学前の巡回発達相談,学校現場での心理アセスメント,思春期・青年期の自己理解支援,ひきこもり,高次脳機能障害,医療観察法病棟における支援まで,医療・教育・福祉・司法の現場を横断する9事例を収録。新版K式,WISC,WAIS,ロールシャッハ・テストなど多様な心理検査を取り上げ,検査実施の背景から,実施を経てその結果をいつ・どこまで・誰に・どのように伝えるかを克明に描き出し,さらに経験豊かな実践家によるコメントを通してフィードバックに含まれる治療的意味を掘り下げる。「治療的アセスメント」とも響き合いつつ,受検の過程やフィードバックの対話のなかで受検者の語りを引き出し,共に考え,言葉を探し,将来への見通しを編み直す営みとしての心理検査の姿が事例を通して示される。
限られた時間,制度上・組織上の制約,多職種連携といった現代の公認心理師・臨床心理士の現実を踏まえつつ,ともすればルーチンワークになりがちな心理検査とフィードバックを,あらためて専門職の責務とやりがい,そして何よりクライエントの利益に直結する実践として捉え直すための知と工夫を集めた。